赤ちゃんが「おたふく風邪」にかかってなおると、「この子はもう、生涯、おたふく風邪にはかからない」といいます。このように「一度おたふく風邪にかかったので、もう二度とかからない」ことを「おたふく風邪に免疫を持っている」といいます。「免疫」とは「疫(えやみ=やまい)」から「免れる」ということです。

03477-300x225免疫ができる病気はいくつか知られていますので、適応力の大きい乳幼児の時に、あるいは健康な時に、あらかじめ免疫を作り上げる工夫がされています。「免疫をつくる種(たね)」を「ワクチン」といいますが、これを注射したり皮膚に付けたりして、その病気に対する免疫力を造るのです。

「ワクチン」とは「牛の疱瘡から造った免疫の種」というドイツ語「バクチーン」を借りた言葉で「種痘」と翻訳されますが、疱瘡以外の病気についても「免疫の種、免疫を造る薬」という意味で使われます。

ワクチンの作り方は、その病気の種類によって異なりますが、大まかに分けて、三つの方法があります。

  1. 病気のもとになるウイルスや細菌などを「病原体」といいますが、病原体の力を極めて弱くしたり、
  2. 病原体の一部だけを取り出したり、
  3. 病原体が出す毒素を取りだして無毒化したりしてつくられます。

いづれも身体に入れたり皮膚に付けたりしても、本物の病気にならないように工夫してつくられます。病気の中には、乳幼児期にかかっても軽く済むが、大人になってからかかると重いものがあります。予防接種をうまく利用することで病気にかかる心配を少なくすることができます。

ワクチンによる予防接種の中には「定期接種(一類疾病と二類疾病)」と「任意接種」があり、以下のように分類されています。ポリオ、BCG、ジフテリア、百日せき、破傷風、麻疹、風疹、日本脳炎の予防接種は「定期接種(一類疾病)」として、集団予防目的に比重が置かれているので予防接種を受けるよう努めなければならない(努力義務)とされています。
一方、同じ定期接種に分類されているインフルエンザ(二類疾病)の予防接種は、個人予防目的に比重を置いて行う予防接種とされていますので努力義務はありません。
また、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、B型肝炎などの予防接種は赤ちゃんの周囲の環境や家族の状況などを考慮して、出来れば受けるべきとされている「任意接種」で予防接種が実施されています。

inhuruenza12予防接種は、感染症を予防するため、ワクチンを接種し、その病気に対する免疫をつくることをいいます。
特に、高齢者の方は病気にかかりやすく、かかると重症になることもありますが、予防接種を受けることで感染を防げる病気はたくさんあります。感染症ごとにかかりやすい年齢及び流行期がありますので、それまでに体調の良い時期を選んで予防接種を済ませておくことが大切です。

予防接種を受ける前

予防接種は、予防接種の効果や副反応等について、理解し、接種に同意したときに限り、行われます。安全に予防接種が受けられるよう、以下のことに注意してください。

  1. 接種を受ける前日には、入浴して体を清潔にしておきましょう。
  2. 当日は、接種を受ける本人の体温を測り、ふだんと変わったことがないかを確認しましょう。
  3. 接種を受ける前には、激しい運動を避けましょう。
  4. 予診票には、ありのままを記載しましょう。

ワクチンを接種する医師は、予診票の回答にそって、本人の体調を確認し、体温測定,聴診,打診などを行って、予防接種の可否を判定します。該当する場合は、予防接種を受けることができませんので、後日、ワクチンを接種する必要があります。

予防接種が受けられない場合

明らかに発熱(通常37.5℃以上)している場合。

  1. 重篤な急性疾患にかかっていることが、明らかな場合。
  2. 当日受けるワクチンの成分で、アナフィラキシー※を起こしたことがある場合。
  3. BCG接種では、他の予防接種や外傷などによる皮膚に瘢痕(はんこん)が見られる場合。
  4. 予防接種を受けようとする病気に既にかかったことがあるか、現在かかっている場合。
  5. その他、医師がワクチン接種に不適当と判断した場合。

※アナフィラキシー:接種30分以内に、汗がたくさん出る・顔が急にはれる・じんましんがでる・はきけ・息が苦しいなどのひどいアレルギー反応のこと。

予防接種を受けた後

  1. ワクチン接種によるひどいアナフィラキシー反応は、ワクチン接種後30分以内に起こることが多いので、接種後30分程度は、病院内で様子を確認するか、医師とすぐに連絡がとれるようにしましょう。
  2. 接種した当日は、過激な運動を控え、安静にしましょう。
  3. 接種部位を清潔に保ちましょう。当日の入浴はさしつかえありませんが、接種部位をこすることは避けましょう。
  4. 接種の翌日にも体温を測り、発熱がないかを確認しましょう。
  5. 不活化ワクチンの場合は、接種後3日以降に異常反応がでることは、ほとんどありませんが、生ワクチンの場合は、1ヵ月くらいは体調に気をつけましょう。

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